思春期、20代の子供が「将来や進路がわからない」と心配になるのは親としてもっともです。ただ、今の時点ではっきりした職業、夢を描く必要はないということです。大人も自分の夢を初めからもって目標をたて、しっかり歩んでいる人はどれだけいることでしょう。夢探し、自分探しを一緒に楽しむ。そんな姿勢が子供の成長を大きくひきだします。
夢を見つける自分探しこそが大切
小さい頃はよく夢を言っていたけど、近頃は元気がない。家に閉じこもって、出てくるのはどうせ無理、そんな言葉ばかり。不登校やひきこもりの状態は、自分に自信が無くなっているため、余計に将来のことなど考えられません。学校へ行けていても、受験、試験の順位、点数に追われる日々で、夢をもてというのも土台無理な話です。感性が鈍ってくるからです。
また、以前子供が小さい時によく口にしていたこと、大きな夢、野望など、「そんなことムリ」と、親の私たちが何気なくつぶしている場合もあります。私がそうでした。我家の子どもは今20代。どんな夢でも、夢を持つ大切さ、夢を育てる親の声かけが大切と、今になって分かったことがあります。
親がドリームキラーになる
息子が中学生の時。スポーツ選手になって大きく稼ぎたい!とひたすら自主練をしていた時がありました。当時、二度目の駐在で、日本人が誰もいない異国の地。中学生になったばかりの多感な時に、これから何を目標とすればいいのか、先が見えなくなっていたのでしょう。私自身も当時暗く、聴くことの大切さ、自信を入れる大切さを学んでいなかったので、子供のケアに無頓着でした。息子をとりまく環境の厳しさ、息子の年頃の悩みに気を配る配慮に完全に欠けていました。
息子は自分なりに、将来大きく稼ぎたい、そのためにはプロスポーツの世界がいい!プロのアスリートになればどれだけ稼げるか、などといろいろ検索し、嬉しそうに分かったことを私に話していました。それなりにあいづちはうっていたと思いますが、内心では「地域のチームでレギュラーにもなれないのに、そんな大それた夢よりも他に自分を生かす道がありそうなのに」と思っていました。内心そう思えばきっと子供にも伝わっていたことでしょう。もし心から、「そのアイデアいいね!」と思えば、かける言葉は大きく変わっていたはずです。
今振り返れば、厳しい環境にもめげず、一生懸命前を向こうといちるの望みをかけて稼ぐ道とは?と探していることこそ、心から共感し、話をじっくり聴いてあげるべきでした。
子供の夢を聞くコツ
今だからわかることが沢山あります。
子どもの夢は、それを達成するかどうかよりも、その夢を考える力、過程こそが大切でした。というのも、今振り返れば、野望をもつことは、こんな力があるといいうことです。
- 夢を思いつく力
- ワクワクできること
- 稼ぎ方を検索する力
- 朝晩、必死に自主練する継続力
- 稼ぎたい強い願望
- 将来大きく活躍したい願望
今書き出したら、こんなに、良さがたくさんあったはずなのです。当時私はそれを知らずに、そんな非現実的な夢なんか、と思っていたので、このような良さを全く思いつきませんでした。
こんな野望があるのに、実際試合では動いていない、動きが悪い、こうすればいいのに。時に叱ったり戦略を練ったり。今思えば余計なことをしたし、期待から責めとなり、せっかくの息子の野望を追い詰めてしまった。言えば言うほど、息子はどんどん力をなくしていったことを、気がつきませんでした。あの時の情景が今もよみがえります。自主練や個人レッスンを受けたいと異国の地で頑張る息子を、私は応援よりも責めてしまっていたのです。後に自信もエネルギーも枯れはてて、息子はついにある日、学校から帰宅後に一歩も動けなくなり、その後学校へも行けなくなりました。
言葉を変える 見方を変える
まるで別人のように落ち込んでしまった息子をいかに以前の元気な時に戻せるか。必死になって探して見つけた言葉かけの教え。自信を入れることを核として学んで分かったのは、子供をどう見るかでかける言葉は真逆になるということ。一つの興味から検索をすれば、世界が広がります。そうか、トップクラスアスリートの稼ぎの相場はこんな感じか。などと相場観まで分かります。いろんな職業を考えます。息子は行動が止まってしまう前に、それだけの行動をしていた。褒めポイント、伸ばせるポイントは莫大にあったはずなのです。
私がしたことはそれに気づかず、逆に期待から息子の夢ややる気までをつぶしてしまった。事態が悪化してからようやく気づきました。親と言うものは子育てが初めて。良かれと思ったことが、実は子供を大きくつぶしていることがあるのです。
夢を考える過程が成長に
今振り返れば、どんな夢でもいい、野望でもいい。道を変えたくなれば変えればいい。意欲があるから検索をする。そこで、いろんな背景知識も入る。アイデアは人に迷惑をかけるわけではない。考えるのは自由です。そんなことができるのは、決して当たり前ではなく、元気でなければ決してできません。息子が倒れて初めて、その当たり前ではないことに気づきました。プロのスポーツ選手になれるかどうか、ではなく、その考える過程が超大事。夢を考える過程で、沢山の力や気づきが出てきます。
ふとしたアイデア、こんなこと思うんだけど、こんなことを調べたよ、そんな一言を大切にすればよかった。子供にとって、それは最高の気づきであり、夢や将来への一歩だったはずです。
調べたことを親に話す過程が、考えをまとめるアウトプットです。親であっても人に話してみる習慣は、後々大きな成長につながると今だから分かります。子供が夢やアイデアを語る時、すかさず、いい視点だね!!と伝えてあげてください。
子供時代に壮大な夢、ありえない夢を逆にたくさん描いたほうがいいのです。まずは何でもいい、そのわくわく考える過程が大切。
ありえない夢でも
- 試してみる
- 調べてみる
- 人に聞いてみる
その直感と気づきが、後に大きく花開いてきます。将来にワクワクしてくると、受験生も勉強に身が入りますね。不登校や引きこもりの時は特にワクワクする感情が大切です。
息子の自分探し
私が言葉を学び、子供と向き合う姿勢や考え方を変えたことで、その後紆余曲折はあったものの、今10年たち、息子は大学生の今、楽しく自分の夢を探している途中です。稼ぎたい、というキーワードは依然として持っているようで、大学に進み、ある程度自由に時間を過ごせるようになった今、仲間と起業をしたり、企業と学生をつなぐ仕事を立ち上げたり、ありとあらゆるバイトを試してみたり。
今はもう、「そんなことしてどうするの?大丈夫なの?」そんなフレーズは一切浮かびません。あなたにはあなたの使命がある。この自分探しの延長に、きっと何か息子のストーリーがあるはずだ、そう信じているからです。親ができることは、倫理に反すること以外は、どんな小さなことも挑戦は次につながる。「この道はいいと思ったけど、やっぱり違う、こっちかな?」そんな繰り返しを楽しむのが、自分の道をみつけていく人生の過程なのだと思っています。
お子さんの夢物語、ぜひワクワクして聴いてあげてくださいね。