旅は進路と強みを見つけるチャンス
子どもの引きこもり、不登校、燃え尽きた原因は様々です。燃え尽きた状態では、自分の明るい進路や将来を描けません。
自信を使い切ったエネルギー不足で、自分にダメ出ししているからです。
そんな時は旅行で非日常を味わい、子どもの力や進路へのヒントを探るのもおすすめです。
近場で日帰り旅でも親子のコミュニケーション作りになっておススメです。
対人恐怖症でひきこもりへ

今から10年ほど前。娘は高校時代の2年間、ひきこもりでした。夫の駐在先へ家族で住んでいた頃です。
もっと自分を試したいと、希望に燃えて転校した先で、人種差別というクラス中の無視に遭ってしまいました。
誰からも話しかけられない、授業のプロジェクトにグループに入れてもらえない、全く授業にならない日々となりました。先生も見て見ぬふりです。
全く予想していない事態に、途方に暮れました。人づてにいい学校だと聞いて転校を決めましたが、白人社会にとってはいい学校であり、いざ入ってみると、白人以外誰一人いない学校だったのです。
娘の精神が崩壊し、退学してホームスクールに切り替えることにしましたが、すっかり対人恐怖症となり、何もできない状況となりました。

このトラウマは重症で、全く人に会えない心の闇を抱えてしまいました。
明るかった娘が突然変わり果てる。私の精神も崩壊寸前でした。
このような状況では進路も探せません。人が怖ければ将来に絶望するのも当然でしょう。先が見えない不安で私は毎日途方に暮れていました。
ひきこもり中にやっていたことは、なぜか自己啓発本やビジネス書を読んで気づきを私に話したり、写経をしたり、韓国語を独学したり、K-POPでひとりダンスを覚えたり。他にはなかなか取り組めませんでした。
ひきこもりの娘の進路を探す旅

この子にはきっと進路につながる良さがあるはず。家で娘の強みは伝えていましたが、将来が心配でした。このままひきこもりになれば、大変な事態になる。
心機一転、別の切り口でも探してみよう。短い旅行に思い切って行ってみよう。
そう思いつきました。旅行は刺激もあり、ハプニングが人を強くしてくれます。
でも本当に進路なんぞ見つかるのか、悲壮な気持ちと、わずかな希望をもって娘を旅に誘いました。
感性を磨く旅【オランダ・イギリスへの旅】

二人でイギリス、オランダの短い旅に出た時は、娘は長い引きこもりで人への恐怖がまだ一杯の時でした。
でも旅行では、ふだんの生活にはない、沢山の刺激があるはずです。
準備だけでも今まで使っていない脳が動き始めます。
どこに行きたいかルートづくり、企画、準備、パッキング。
何をしようか。
娘はイギリスへ行くと聞き、少しの希望を持ち始めて「こんな革鞄が欲しいな」とスケッチを始めました。
イギリスの革製品のお店を調べておき、訪れるリストに加えました。

また、娘には準備する力があります。先を見通してあれこれトランクに詰め始め、久しぶりの非日常を楽しみにしています。自分が旅先で楽しんでいる姿を描ければ、準備にも力が入ります。
私は、ただの旅行に終わらせず、娘を観察し、娘の言葉に耳を傾けようと思いました。娘は夢や進路を自分で描けず暗い日々だったからです。

描いた通りの鞄に出会う

調べておいたイギリスの革製品屋さんに立ち寄ると、なんと、娘が想像していた理想の鞄がありました。
丁寧に赤いタータンチェックの裏地が貼られ、光沢のある革でしっかり作られた手仕事のレベルの高さがわかる素敵な鞄でした。
記念にその鞄を買い、娘は嬉しそうに満足気でした。
感性が少しずつよみがえってきたところで、娘の良さもいろいろ見えてきます。
娘の強みを見つける旅

・この子の得意なことはなに?
・どんなことにアンテナを張る?
旅を始めればいろんな力が見えてきます。
- 地図を片手に、知らない街を歩く力
- トラブルが連続しても、あわてず修正する力
- 観察力、一目で状況を把握する力
娘はもともと観察力が高く、一緒に同じ景色を見ていても、私には目に入らないことを次々に発見していきます。
たとえば、イギリスからオランダへ飛ぶと、オランダの人達のファッションを見ては、気づきを次々に話し始めました。
オランダの人達がまとう上質の革製品の靴、鞄。黒でシックにかためたファッションなど。
バスに乗っていても、娘のアンテナは情報キャッチにグルグル回り始め、
「あの人の靴はこんなデザインで、とても素敵」
など、目に力が入り始めました。

娘はセンスのいいお店が並ぶ通りでは、俄然元気になりました。
ヨーロッパならではの素敵なデザインの靴が並ぶ靴屋さんがたくさんあります。
上質な革製品がところせましと並ぶ靴屋さんに入り、次々に手に取って確かめてみました。
質もデザインもいい靴を2足選び、購入を決めました。靴が素敵だと、洋服もはえます。
私には全く分からない品物の良さを、娘は片っ端からしゃべっていきました。
娘にはやはり、
・観察力
・メキキの力、モノを選ぶ力
があるのでは?それって、将来仕事に役に立つのではないか。そんなヒントがありました。
モノの良さをいかに広げたり、人に伝えていくか。
マーケティングという分野もあるかも。そんな選択肢もあるね
などと話しました。
ただの買い物に終わらせません。目的は進路につながる娘の良さを探すことでした。
もちろん決めるのは本人ですが、少しでも選択肢や可能性が出てくると、娘も将来に希望を持ち始めます。
進路を探す マーケティングという道

購入した靴のメーカーを調べ、どんな販売網をもっているか、世界展開をしているのか、一緒にウエブサイトを見てみるのは、進路を考える、会話の糸口になりました。
そう信じながら、娘の気づきをほめたりあいづちをうって楽しく耳を傾けました。
「人との距離感がわからない」と泣き出した

ワクワクする感性がよみがえってきた一方で、旅も終わりに近づいた時です。
オランダの駅のプラットフォームで突然、
人との距離感が分からない!
と娘は泣き出しました。
これほど積み上げてきてもまだだめなのか。終わりの見えない人へのトラウマに、絶望感しかありませんでした。
それでも、見えないところで自信がミリ単位で増えていたのでしょう。
ひきこもりから勇気を出して大学へ
旅行から戻り、ほどなくして「やっぱり大学へ行きたい。人にもう一度会いたい。」と言い始め、進学に向けて準備することにしました。専攻はマーケティングで希望をだしました。
家族がまだ駐在だった地元の大学へ無事入学ができ、勇気を振り絞って飛び込んでいきました。

キャンパスでは人への恐怖と戦いながらも、自分の強みをフルに使って、人に声をかけていきました。
・ひきこもり中に独学で覚えたダンス
・家族への料理
・独学で覚えた韓国語は、
人の輪を広げるのに、大きな武器となりました。
引きこもり中にやっていたことは、生きる力になったのです。
その後日本へ帰国し、日本の大学でもマーケティング関連を学びました。仕事でもマーケティングを希望しましたが、いろいろ紆余曲折の後、今はマーケティングを兼ねた営業に道を見出し、頑張っています。
まとめ 旅行はセラピーになる

人生どうなるか分かりません。旅行も戦略的なセラピーです。
自信が足りず、外にまだ出られない時は、親から言葉のシャワーをたくさんかけて、自信をためていく。
そして一歩外へ出られたら、旅行も大きなチャンスとなります。
- モノ選びで得た気づき
- 街を観察した気づき
- 非日常で見せるたくましさ、切り抜ける力
などには、子供の才能の芽がたくさんつまっています。
まずは、じっと耳を傾け、なるほど!いい気づきだね!調べてみようか?などと楽しく会話を展開できると、親子でワクワクしてきます。
ワクワク感と気づきがあれば、自分の生かし方や進路にもアンテナを張るようになっていきます。
進路のお悩み、ひきこもり中にどう進路を描くのかなど、お気軽にご相談ください。
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