子供がひきこもりの時、勉強をしないことが大きな心配になりがちです。勉強が遅れると再登校ができないから焦りますよね。
でも実は、【急がば回れ】。ひきこもり克服を助け、勉強に再び向かえる解決の糸口があるのです。

子どもが夢中になっていることに、「それって将来役にたたないよね」「それより、勉強したら?」って
冷たい目で見てしまうことはありませんか?
上記のセリフは、当時の私の気持ちでした。10年前、娘が高校時代に2年間ひきこもりになり、
「自立の道はどこにあるんだろう」、「どこに解決の糸口があるんだろう」
それが当時の私の切実な叫びでした。娘はひきこもり中に勉強に向かえず、隠れて韓国語ドラマやK-POPを見ていました。
娘のいいところを探して毎日自信を入れる言葉をかけていましたが、娘の自信はなかなか増えず、対人恐怖症のトラウマで、毎日暗い日々でした。
勉強もしないで、韓国語や韓国のバラエティとか見ていて意味あるの?
と私は内心そればかり思っていました。でも娘に少しずつ自信がたまった2年後、「もう一度人に会いたい!」と勇気をだして大学に飛び込んだ時、
深い心の傷をいやしてくれたのは韓国語であり、K-POPのダンスの力だったのです。
その後社会人になって再び大きな武器になったのは、また韓国語でした。「需要なんてないよね」と思っていた私が間違っていた。
ひきこもり中にやっていた好きなことが、再び社会に出たときに大きな強みになったのです。ひきこもり中に磨いたことが、自信を支える武器になると分かっていたら、未来に希望を少しは持てたのではないかと思います。
夢中になることには意味がある
娘が社会人になった今、この10年をふりかえってわかったことをご紹介します。


韓国ドラマとK-POPが対人恐怖症克服へ
娘が高校時代、家にひきこもっていた2年間。殆ど勉強に手がつきませんでした。自分の未来が全く描けなかったのでしょう。
何を目標に進学すればいいのか思い浮かばなければ、勉強にも身が入りません。よほど勉強が好きな子以外は、ひとりで家で黙々と勉強するのは難しいことでしょう。
やっていたことは、教科書を開く代わりに日本語のビジネス書、自己啓発本を読んでは書写をしたり、本の内容を私に話して聞かせる日々でした。
本の話にはなるほど!いい視点だね!などと感心したり、大きくあいづちをうっていました。娘の話を楽しく聴いてあげること、はよくできていました。
しかし、韓国ドラマを見ていることをほめられたのか、というと、ほめるよりも、「将来役に立つのか」という意識が先に立ち、熱心に話を聴けませんでした。
娘は韓国語の本も書き写しをしたり、韓国のバラエティ番組を見てひとりで笑ったり、K-POP を見たり。「それが心のよりどころだった」と先日ぽつりと言いました。
その韓国~命が、なんと。。。。後々娘の人生に大きく大きく役に立つとは、当時全く分かりませんでした。


韓国人留学生との交流が自信に
私の言葉かけで自信を少しずつ貯めた娘は、ひきこもり2年後、対人恐怖症が根強くあっても「もう一度人に会いたい」「もう一度人生を生きたい」と、勇気をふりしぼって地元の大学へ飛び込んでいきました。
そこでなんと、引きこもり時代にひたすら見ていた韓国ドラマ、バラエティ番組が役にたったのです。韓国からは沢山の留学生がきていました。
娘は人への恐怖でいっぱいでも、勇気を出して新入生イベントで人に声をかけていきました。地元の高校と違い、大学はいろんな地域、国から学生が集まるので、孤独な人はたくさんいます。
今までの自分を知らないゼロからのスタートには、もってこいの状況です。韓国人留学生とみれば、韓国語で話しかけて友達を作り、孤独な人をつなげて輪が広がっていきました。住み慣れた地域や母国を離れた学生達はけっこう孤独です。「ラーメン食べに来ない?」などと、手料理でも人を集め、大喜びで人が集まり始めました。
韓国人は情に厚く、またアニメのおかげで日本人を好きな人が多く、仲間になってくれました。娘の韓国風の手料理にも皆大いに喜んでくれました。


K-POPがダンスの力に
たっぷり見ていたK-POPで、自分でもいつのまにか踊れるようになっていたので、大学では早速ダンス部へ入部。そこで役にたったのは、ダンスの力でした。
意外と人より得意になっていたため、「教えて!」と娘のまわりに人が集まります。教えれば先生です。学内で定期的にステージで発表もすれば、ちょっとしたスターにもなれます。
ダンスが人をつなげる大きな力になるとは思いもしませんでした。これは、ダンスが好きな不登校の女の子にも伝え、再登校にもつながったことです。
言語で人をつなぎ、手料理で人を集め、ダンスで人前に立ち、人に教えて喜ばれる。ひきこもり中に磨いていたことを、無意識に【人をつなげる武器】に使い始めました。
親が自信を入れていくと、「もう一度人に会いたい」という強い願いで自分の強みをフルに使い始めます。直感で自分の武器を切り札にするのでしょう。
人に喜ばれて自信をためる
【傷つけるのも人、癒してくれたのも人】でした。
人との距離感が分からない!そう泣き叫んでいたひきこもりの娘の姿は、いつしか消えていました。
人から喜ばれることが人への恐怖を消し、自信をつけ、前に進む力になったのです。
前世は韓国人だったのか、と思うほど韓国が大好きな娘。その後も
- 日本にいる韓国人留学生
- 韓国の旅先で出会った人たち
- 韓国短期留学で知り合った友人
などなど、韓国の友人は数知れず。出会いと交流を広げていき、韓国語のレベルが上がっていきました。
「最近どうしてる?」今も気軽に声をかけてくれる韓国人の優しさも、娘のトラウマを消してくれたのでしょう。


韓国語の独学はドラマと歌から
ひたすら見ていた韓国ドラマ。ひたすら書き写していた韓国語の本。娘に聞けば、中学生の時からK-POPがきっかけで歌詞を書き写したりして韓国語に触れ始めたそうです。
ひきこもり中に普通の勉強はできず、韓国語の時間が異様に多かった娘は、やがて社会人になるころには、随分話せるようになっていました。社会に出て、これが一つの大きな武器になるとはひきこもりの時には想像もできませんでした。
韓国語がトラウマを消す大きな強みになりましたが、社会人になって今度はどう武器になっていったのかを続けます。

