不登校の子どもは、学校に行けない自分を責めたり、親の期待に応えられないことで自己肯定感が低下しがちです。その結果、将来に対して希望を持てず、「自分は何もできない、人生終わった」と感じてしまうことがあります。子どもの心のケアから勉強への向き合い方をお伝えします。
1 不登校の子どもが将来に絶望する理由
自己肯定感の低下と将来への不安
自分がやりたいことを追求したい積極的不登校ならばいいのですが、大抵は行ける元気をなくして閉じこもることが多いです。勉強もできず自分の未来があるのか、絶望感にひたっています。将来を描けなければ、当然勉強にも身が入りません。友達と話せない状態が、子供にとってどれだけ厳しいかを理解してあげる必要があります。
2 親ができる支援:勉強法と心のケア
子どもの気持ちに寄り添う
まずは、行けない理由、勉強できない子どもを責めたりせず、子どもの気持ちを否定せずに受け止め、共感しましょう。「学校に行けない自分はダメだ」と感じている子どもに責めは余計に自信をなくし、心の状態が悪化します。「あなたの気持ちはわかるよ」と伝えることで、安心感を与えることができます。自信を入れ、寄り添うほうが解決に早く近づきます。
勉強する前に大切なこと
まず親子の信頼関係を築くことです。できないことばかり指摘する、勉強しないと怒る場合は、心を閉じます。まず落ち着いて一緒に話せる状態ならば、今できることの戦略を一緒に練りましょう。まだ一緒に話せる状態でなければ、ひたすら自信を入れる言葉がけです。心が落ち着かなければ勉強には向かえません。逆に、落ち着いてきたら、できることから少しずつ増やしていけます。遅れを焦る必要はありません。自信さえ溜まれば、あとで挽回できます。
不登校中の勉強のサポート
全ての勉強に向かえないのか、一部でもできることはあるのか、学校へ行かないと責めるよりもまず一緒に話し合ってみましょう。
漢字練習ならできる、計算ならばできる。いろんなケースがあります。つまづいているところからさかのぼって、一緒にやってみるのも手です。むしろ学校ではできないことをできるチャンスです。
塾や家庭教師に頼む前に、大型書店に行くのはぜひおすすめです。書店には、子どもが自分でもできる、カラフルでよくまとまった問題集やガイドブックがたくさん並んでいます。カラフルでまとまっているもの、なるべく薄くてすぐに終われそうなものなら達成感があります。
これならいけるかも、というものを自分で選んでもらいます。問題集までいかなくても、クイズ形式や雑学、歴史の漫画でもいいのです。または好きな分野の本でもいいです。パソコンや電気関係が好きなど、驚くほど専門的なことが好きな場合もあります。子どもが可哀そうだからと好き放題でゲーム三昧よりも、将来への種まきの方が子供にとって大切です。頭を動かし、将来へのアンテナを張れる時間を楽しく過ごしましょう。
帰りにカフェでも寄って、気分転換でもいいですね。不登校中は強みを磨いて将来に備える充電期間ととらえ、休んでいても罪悪感をもたなくてもいいと思います。
好きな本の気づきを話す
当面勉強に向かえなくてもできることがあります。大型書店に行き、何か興味をひく分野の本はないか、ぶらぶらするだけでもおすすめです。たまたま目をひいたタイトル、手に取った本をめくるうち、何かヒントがあることも。そのまま収穫なく帰ってもいいのです。何かヒントになることもあります。
子どもが手に取った本を、こういう興味があるんだと親にも気づきがあります。手に取った本から会話も生まれ、読書後に気づきを聴いてあげることもできます。大きくあいづちをうちながら聴けば、子どもが人に話す練習にもなります。
勉強に向かえない場合、こうして別のルートから知識や自信を積み重ねれば、たとえ勉強に大きな遅れが出ていたとしても、挽回できる力がついてきます。
また、文字を追えないほど心の傷が深い場合もあります。そんな時は無理強いせず、旅行でもいいですし、ボードゲームでもいいですし、一緒に過ごせる時間を大切にしましょう。自信が積みあがってきたら、文字も徐々に追えるようになります。
オンラインで受講する
まずはできるところから自信を積み重ねることが大切です。自信がついてこれば、オンラインで授業をとりたい、習い事をしてみたい、と意欲がわくかもしれません。意欲が少し戻ってこれば、こんなのもあるよ、とさりげなく伝えるのもいいですね。オンラインで受講するにも、準備したり、質問したり、いろんな工程があるはずです。
一人でそれができたことをすかさず褒め、力を伝えるのです。準備する力、先を読んで質問する力など、結局生きていく上でとても大切な力です。伝えてあげれば、自分はこれだけのことをできたと、揺るがない自信が生まれてきます。学校に戻る自信も出てくるかもしれません。先を急ぐよりも、今、心の土台を築き直せば、大きく伸びてきます。生徒さんの中3の息子さんも、この過程をたどって、揺るがない自信を身につけ、再登校を果たしました。
何年か勉強に遅れがあっても、自分にはこの分野の強みがある。そんな自信が再登校につながったはずです。自信はそれだけ大きいものなのです。
3 心の傷はすぐには治らない
今まで自信を減らした理由は様々です。家庭に何かトラブルがあるかもしれない、先回りや過干渉、心配性の口癖が、意欲をなくす原因だったかもしれない、など様々な原因があります。
まずは、親自身が子どもの自信を減らすことをしていなかったか振り返りをします。子どもを変える前に、自分の振り返りをすることはできるからです。私がそうでした。
振り返れば反省だらけで、子どもには期待から責めとなっていたと思います。
子どもの先の心配よりも、まず子どもの今に集中すれば、未来が拓けてきます。視点をどこに持つかで、結果が大きく変わると、私は子ども二人を引き上げる過程で嫌と言うほど学びました。
親の勝手な期待、未来像は、子どもが今もっていないもの、その代わりに子どもが今もっている良さ、できたことを見てあげる、伝えてあげることで、子どもは一滴一滴自信をためます。その自信をエネルギーとして、自分の夢や道を探しに立ち上がります。
4 フリースクールや通信制高校の活用
学校以外の学びの場として、フリースクールや通信制高校、オンライン学習などの選択肢もあります。子どもの興味や関心に合わせた学びの場を提供することで、再び学ぶ意欲を引き出すことができます。自信がたまれば、自分が本当にやりたいことは何か、検索し始めます。検索も非常に大きな力です。気づきを話したら、大きくあいづちをうちましょう。調べた力を伝えましょう。自分で調べる、気づく、また考える、その繰り返しを最大限ほめましょう。挑戦は、その小さな繰り返しから始まります
まとめ
不登校の子どもが将来に絶望感を抱くことは珍しくありませんが、親の適切な支援によって、希望を取り戻すことが可能です。子どもの気持ちに寄り添い、小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を育み、将来への展望を持てるようサポートしていきましょう。