1. 20代ひきこもりの背景と親の向き合い方
1-1. ひきこもりの心理的背景
20代の引きこもりは、大学進学後の燃え尽き症候群、就活の失敗、入社後の職場のいじめ、人間関係のトラブル、精神的な不調などが原因となることが多いです。
1-2. 社会的なプレッシャーと自尊心の低下
同年代の友人が学校や社会で活躍する中、自分だけが取り残されていると感じ、自尊心が低下し、引きこもりが長期化する傾向があります。
2 親ができる基本的な対応策
2-1. 大学進学後の燃え尽き症候群
離れて暮らしている場合など、コミュニケーションが難しいこともありますが、様子が変だ、元気がない、と感じた場合は、声をかけてあげることが大切です。
親がいるよ、ここにいるよ、何かあったら帰っておいで。食事に行こうかなど。聞いてくれる人がいる、という存在が、少しでも子どもに安心感を与えます。
2-2 進路、専門が合わない
専門が思うことと違った、合わない、などは、入ってみて初めて分かることで、入学前にはなかなかわかりません。
入学後の愚痴はよくよく聴いてあげることです。聴いているうちに、子どもにもヒントが浮かぶことがあります。愚痴も全て気づきなので、そこから考えが発展する場合も多いのです。
「専門を変えられるか聞いてみよう」とか、「セミナーに行ってみようか」など、アイデアも浮かぶかもしれません。こうするといいよ、というアドバイスよりもまず、聴くことに徹します。この分野は合わない、という試行錯誤は素晴らしいことです。その試行錯誤や葛藤を逆にほめましょう。
試行錯誤や迷いから、子ども自身が検索し、解決の道を探り始めます。それこそが生きる力につながります。それでいいのです。
2-3 就活の失敗、就職の失敗
就活、就職も、やってみて初めてわかることだらけです。業界の種類、規模、場所など、十分調べて就活に臨んでも、思ったように内定をもらえなかった。職場でいじめにあったなど、自分には価値が無いなど思いつめてしまうこともあります。
まずは、よくやっていること、話を聴くこと、大きくあいづちをうつこと。
それだけでも、子どもの心に自信の杭を立てていくことができます。自信をコツコツ増やしていくことが何より大切です。話に「よくやった、よく頑張った」などと合いの手をうっていれば、「そうだ、別の業界にもコンタクトをしてみよう」「まだやれることがある」「エージェントに問合せをしてみよう」などと子ども自らアイデアも出てきます。
親が初めからアドバイスをせず、自分の気づきが出てくるように待ちます。自分の気づきこそ、次への大きな一歩です。
2-4親の価値観を押し付けない
大学の進路えらび、会社や業界選びはとても難しく、試行錯誤をしているうちに、自信をなくしていき、ある日行動がとまってひきこもりになります。その前に、子どもに自信を入れること。聴いてあげること。
時代は激変しており、分野選びは子どもの直感を大切にすることがカギとなります。AI時代となり、今まで安定とされてきた職業も、子どもの時代にはかなり淘汰されると言われています。
親ができることは、子どもの進路先を決めたりアドバイスをすることではなく、できたことをほめ、力を伝え、自信を入れること。自信がたまれば子どもの直感がおり、自分の人生を探し始める力がわいてきます。子どもの人生を応援しましょう。葛藤や試行錯誤こそ、新しい未来を拓く力です。
3. 自立と社会復帰を支援するためのステップ
3-1. 小さな成功体験を積ませる
もし子どもが完全にひきこもってしまったら、日々の声かけを続けます。年齢が大きくても、声かけは同じ。存在を嬉しいとメッセージを伝えることもできます。家事の手伝いや外出の誘いなど、小さなことでもできることを積み重ね、日々の生活から見える子どもの力を毎日伝えていきます。
金銭面や生活面で、至れり尽くせりだと外に出ていきません。稼ぐことのモチベーションが切れないよう気を付けます。自信を入れる声かけを続け、心の土台を築きつつ、家の仕事も任せていきます。好きな趣味なども突破口になります。一緒にお店に行くなど、会話の糸口も探りましょう。
3-2. 就労支援機関や学校窓口との連携
少し元気が出てきたら、社会人の場合は地域の就労支援センターや転職カウンセラーと連携し、専門的なサポートを受けることも自信になります。エージェントの担当者は優秀で、上手に強みを引き出してくれます。
学生ならば、学校の窓口にサポートを問い合わせてみましょう。いずれにしても、日々親が自信を入れることを続ければ、子ども自らサポート窓口へ問いあわせたり、面談に臨む力が出てきます。それこそが、生きる力につながります。その準備や一歩踏み出した力をすかさず伝えましょう。
生きる力は雪だるま式に増えていきます。