思春期以降の進路を親がどう向き合うか、どう言葉をかけるか、迷うことはありませんか?子供が進路を決めている時、決めていない時、どんな言葉かけが親子の信頼関係につながるのか、またひきこもりだった娘をどう進学につなげたのかをご紹介します
パターン別 親の関わり方
子供が進路を決めている
頭から否定しない
「それで本当にいいの?」「大丈夫なの?」
条件反射的に、つい言ってしまいがちですよね。親としては中身をよく考えずに、子供の将来をまず心配して言ってしまいがちです。でも、どんな道にせよ、子供が親にするまでによくよく考えた挙句の結果だということを、まず理解しましょう。せっかく進路を考えたのに、信頼されていないというメッセージが伝わってしまいます。これは後々社会に出て、心の土台を揺るがします。自分で考える、判断することの大切さは、後で大きく効いてきます。何も決められない、考えが浮かばないお子さんもたくさんいます。経験がまだ少ない10代で、進路を決められないのは当然のことですが、その中で、こんな道がいいんじゃないか、と考えをめぐらしていること自体が素晴らしいことです。
まず受け入れる あいづちの大切さ
「なるほど!」「そんな道があるんだ!よく考えてるね!」
まずはお子様の考えに、大きく相づちをうちましょう。突然、予想外の話を聞かされた時は、とっさにそんな受け答えは難しいかもしれませんが、この聴き方一つで子供の成長は大きく変わります。聴く耳をもたない、否定から入れば話し合いは頓挫しますが、「なるほど!」「どうやって考えたの?」から入れば、子供はとくとくとして、そこに至る考えを話してくれるでしょう。その説明を引き出すことが非常に重要です。説明している間に、自分も考えを整理できるからです。
親子の信頼関係を築くチャンス
進路の話し合いは、後々親子の信頼関係を大きく築くチャンスです。自分の将来を考え、
- 情報を集めている行動力
- アンテナ力
- 判断力
は素晴らしいことです。お子様の力を力強く伝えましょう。思春期は日頃、なかなかしゃべりませんが、ふとひらめいた直感、検索してみた結果、人に聞いてこんな情報があったなど、お子さんの知らなかった考えが出てくるかもしれません。それをすかさず褒めましょう。否定するのか、考えの経緯をほめるのか、結果は雲泥の差となります。
子供が進路を決められない
お子さんが進路を描けない。だから勉強に身が入らない。そんなお悩みはありませんか?学校ではしっかり目標をもって表彰される、立派なお子さんが、ついつい目につきます。目標がしっかりわかっているお子さん、とっても羨ましいです。私も、子供の表彰式の時、他のお子さんの表彰には「素晴らしい!」と拍手をする一方で、うちはどうして目標がないのか、、、とうなだれていたことを思い出します。でも大人でも、子供の時からの夢を目標を定めて、着々と実行している方は、少ないのではないでしょうか?まだ10代で自分の道がわからないことは当然だと、今振り返れば思うのです。
子供の強みから進路を考える
まだ経験も少なく、自分探しはこれからの10代のときに、進学や就職など、進路を決める必要に迫られます。これって結構きついですよね。学校の先生からは早く進路を決めなさいとプレッシャーをかけられます。他のお子さんを見ては、お母さん方も焦ります。でも、子供の強みを探せるのは親ができること、でもあります。日々、目をこらして観察してみましょう。強みなんか無い!と思うとでてきません。でも、小さなことでも、力を探しましょう。そこから何かが始まります。
ひきこもり克服 娘と進路を考える
我家では娘が高校時代、2年間ひきこもりになりました。特に、重度の対人恐怖症。人が怖い、人との距離感が分からないと、人に全く会えない状態でした。心に傷を負うと、回復の道のりがなかなか見えません。当時の私の声かけも、まだまだ修行が足りなかったのでしょう。この子をどうやってレールに戻そうか、どうやって社会に送り出せるのか。毎日絶望感でいっぱいでした。
そんなとき、私はあるメルマガに出会います。自分の好きなことで仕事を生み出している人がいる。そうか、いろんな生き方があるはずだ。
勇気とヒントをもらえた私はもう一度、娘の良さを考えました。娘にはモノをみる力がありました。私は買い物が超苦手です。モノの良さが全く目に飛び込んできません。娘は要領よく暗記して空欄を埋めていく受験のテストは苦手ですが、この子には日本の受験で問われる力よりも、社会で役立つ力がたくさんありそうだ、と前からずっと根拠なく信じていたのです。
その社会で役立つ力、というのが今まで具体的にイメージがわかなかったのです。でもこのままでは働きに行けるメンタルも体力もない。まずは大学へ進学して、自分探しがいいかも、ではどんな進路がいいのか。毎日勉強に向かえず、目にも力がなく、ただただ茫然と日が過ぎていく娘に葛藤の日々でした。
進路を一緒に考える旅
娘の強みを強いてあげれば、メキキの力。商品をさっと取り上げては気づきをいろいろ説明できることでした。何も特別なスキルではなく、私が買い物が苦手なだけで、苦手な私からすれば、目をみはる一種の”特技”に見えただけなのですが。。。
理系も無理、ならばモノにまつわるマーケティング、ビジネス学科とかはどうだろう。将来の希望も持てないため、毎日すっかりやる気をなくして家にひきこもっている娘に自分のアイデアをもちかけました。
ーねえ、お金持ちになりたくない?
なりたい、なりたい!!
当たり前です。どんなに希望を失っていようと、輝きたい!という最後の希望はまだかろうじて持っていました。娘に自分のアイデアを話し、さらに娘の強みを探る短い「オランダ・イギリスへの旅」を思い切って企画しました。そこでも娘の強みをよく観察しました。いまだ人が怖いし、大学に行く勇気も出ないけど、少しずつ娘も自信を持てないながらも将来を考え始めました。
オランダやイギリスでは、街を行きかうオシャレな人たちにすっかり刺激を受けた娘は、オシャレで洗練されている革製品が並ぶ店先に次々に飛び込みました。素敵なデザイン、履き心地、前から欲しかったこんな鞄など、気づきをうってかわって元気に話し始めました。モノを売ることはこの先もずっと存在すること。手に取った商品のメーカーを一緒に調べたり、世界各地にある支店を見てみたり、どんなコンセプトだろうとHPを一緒に見たり。
そんなやりとりをしながら、「とりあえずマーケティングなんかいいかもね、ならば関連する専門学科はどこ?」と、苦し紛れでも、進路を形にする相談をしていきました。娘はまだ自信は出ないながらも、当時まだ駐在だったので地元の大学に希望を出し、許可をもらえて娘は勇気を振り絞って進学していきました。今は社会人3年目ですが、直接マーケティングの仕事につけていなかったこれまでを振り返り、やっぱりマーケティングをやりたい。そんな強い思いから、将来を再考しています。
まとめ
進路が決まっていても決まっていなくても、子供の話をまず聴いてみる。大きくあいづちをうつ。子供の判断、気づきを見逃さず、持っている力を伝えること。進路の話し合いは、時に重くバトルになりがちですが、向き合い方次第で親子の信頼関係を築き、これからの大きな成長を引き出します。また、ひきこもりの時でも、強みを親が見つけることで、ひきこもり克服、チャンスをつかみにいく大きなきっかけにもなります。
どんなお子様も、未来が明るく輝いていけますように。