【母親のキャリアと不登校】背中を見せるだけでは伝わらない愛情とは

たくさんのお母さんが、仕事と家庭の両立に努力して、ご自身のキャリアを築いています。​「背中を見せる」ことで、子どもに努力や自立の大切さを伝えようとしたものの、子どもが不登校になってしまった。その思いが届かなかったのかと感じるケースもあります。​シングルマザーのお母さんも、子どもと向き合う時間が取れないなど様々な理由があるはずです。

あるキャリアウーマンのお母さんとお会いした時、長年ひきこもりの30歳前の娘さんとの親子関係に悩んでいました。

お子さんが小さい時から、「この家に生まれた以上、あきらめてほしい」とお子さんに伝え、第一線でお仕事に活躍を続けました。ご自分のお母さんの価値観である、【第一線で働き続ける女性像】をかなえようと、輝かしいキャリアを築き上げ、今も経営者でいらっしゃいます。

目次

子どもが求めていたのは「言葉による共感」

娘さんは学生の時、お母さんの代わりに家事もこなし、家族を裏で支え続けました。でも娘さんはいつしか心が折れ、不登校気味になっていきました。以来長年ひきこもりになり、今は離れて暮らしています。私とのセッションの中で、お母さんは気づきました。

「自分のお母さんから、愛情を言葉で伝えてほしかった。自分は当時寂しかったのに、同じことを娘にしてしまっていたのかもしれない。」と。

でも元をたどれば、それはお母さんのお母さん自身も愛情を感じにくい、寂しい生い立ちだったという、世代間連鎖であったとわかりました。

「愛情はあるのに、思っているだけでは通じない。具体的に愛情を伝えるべきだった」とお母さんはすぐに振り返り、娘さんに謝りました。長年会うこともままならなかった険悪だった仲が、お母さんが愛情をこめたLINEを送り始めると、娘さんはすぐにお母さんに心を開きました。忙しいお母さんを思いやる、深い愛情と理解に満ちた、それはそれは優しい娘さんの言葉でした。

長年会うこともままならず、お母さんを見る娘さんの目は冷たかったと、お母さんは振り返ります。お母さんが優しい言葉を送り始めて1か月で、親子の食事会が実現しました。以来、お母さんとの絆は日に日に盤石となり、感動のエピソードを伺うたびに、私は何度も泣きました。言葉でこれだけ変わる人生があるのかと。

ずっとお母さんが誇りだった娘さん

娘さんとお母さんとの関係が劇的に改善した今、分かったこと。それは、険悪に見えた年月の間も、娘さんは心の中で、お母さんが第一線で活躍し続ける姿多くの人を巻き込む力やり抜く力をずっと誇りに思っていたことなのです。

娘さんが今まで欲しかったことは、ただ聴いてほしかった。話の途中で遮らずに、最後まで聴いてほしかった。愛情を言葉で感じたかった。それに尽きるのではないかということです。

ちょっとのボタンの掛け違いは、実は親の代、そのまた親の代から受け継いだ世代間連鎖の価値観が影響していることがあります。子育ては私達だけの問題ではなく、元をたどると様々な原因が絡み合っています。私が10年前、子どものひきこもりを相談したカウンセラーに言われたように、全て母親が悪いと一方的に言われるのは納得がいきませんが、

問題が起こった時にどれだけ自分を振り返り、新しい考え方を勇気をだして取り入れるか。それに尽きると思います。

お母さんが気づいた家族の大切さ

経営者として今も第一線を走り続けているお母さんは、一番大切なのは家族だと、最近の納棺体験で思い至ったと話してくださいました。納棺体験とは、実際に棺桶の中に横たわってふたを閉めてもらいます。そしてお子さんが書いたと想定して、自分で作った弔辞を棺桶の外で人に読んでもらう体験です。

棺桶の中でお母さんが脳裏にうかんだこと。それはお子さん達にあなたの娘、息子でよかったと思ってもらうことでした。仕事は大切で、ずっと走り続けてきたけれど、何より大切なのは家族だと。娘さんはその後もお母さんとの信頼関係を築き上げ、今は一歩ずつ変化をすすめ、たくさんの人に会えるようになりました。

お母さんのお仕事も手伝い始め、社会復帰を遂げてステージががらりと変わっています。これから娘さんは、本来の夢に向かって大きく挑戦していくと信じています。子供への言葉のかけ方、聴き方、向き合い方をちょっと変えるだけで、家族の固い絆が生まれる。素晴らしい感動のストーリーが生まれました。

キャリアウーマンのお母さんの人脈とアイデアが生きる時

劇的な娘さんの社会復帰

お母さんは多岐にわたる人脈があります。60代のお母さんは今も仕事に新しいことに、挑戦を続けています。ある時、舞台に立つチャンスに挑戦し、娘さんに舞台を見に来ないか誘いました。

今まで人の中に出ていく勇気がなかった娘さんは、特にお母さんの知り合いがいる場は固く断っていました。でも、それまでにお母さんと信頼関係を築いていた娘さんは、舞台の誘いに勇気を出して応援に駆け付けました。

舞台前には、得意のネイルでお母さんを綺麗にしてお母さんに喜ばれ、自信も生まれました。発表当日、お母さんは、夢中で応援している観客席の娘さんの姿が、真っ先に目に飛び込びました。「お母さん綺麗だったよ!輝いてたよ!」まるで自分のことのように娘さんは大喜びしてくれたのです。

長年、人の中に出ていけない葛藤、お母さんとの長年の確執。それを崩す大きな転機となったのが、このお母さんの舞台でした。今まで人の中に行けなかったのに、大勢の人が集まる舞台へ応援に駆け付けた。これは今後の大きな意味をもつ、と私は直感で思いました。そこから娘さんは大きく変わり始めました。

その後、娘さんはお母さんとおばあちゃんと一緒に体操教室に行き、他の方との交流を重ね、自分でもジムに積極的に通い始めました。健康への意欲、人との出会いの楽しさが大きくでてきたのです。コーチとの交流を通じて、健康への意識がめばえ、お母さんの知り合いのイベントに参加、お母さんの仕事を請け負うなど、急速に社会復帰が始まりました。

それを可能にしたのは、お母さんとの信頼関係を強固にしたことです。信頼関係を築いた上で、お母さんがさりげなく様々なイベントに誘い、無理強いはしません。「こんなイベントあるんだけど、行かない?」「今度こんなところに遊びに行かない?」と声をかけ、お母さんの広い人脈やアイデアが、娘さんのワクワク感を引き出していきました。

人に会おう、楽しいことをやってみよう。元々社交的だった娘さんは、再び人との交流に喜びを感じ始めたのです。

お母さんの強みが過去をすべてプラスに変える

私たち親は、良かれと思ったことが裏目に出て、子育て失敗だったのか、と深い後悔に悩まされることもあります。

でも、全てプラスにひっくり返せばいいのです。潔くまちがったことは謝り、子どもを応援する姿勢に変え、全てプラスに変えれば、それはドラマとなります。

お母さんのすごいところは、過去を振り返り、度々娘さんに謝りました。

遅いということはありません。気づいた時がチャンスです。いろんな事情からかけ違えたボタンを、再びかけ直すことは可能なのです。私は娘さんが、元々の社交的な力を発揮して、世界に羽ばたくと信じています。

その姿を見てお母さんも勇気をもらい、さらに活躍をしていく。そんな好循環が生まれていきます。

まとめ—言葉と向き合い方で築く親子関係

「背中を見せる」だけでなく、言葉による共感と受容が、子どもの心に寄り添うことが鍵となります。お母さんご自身が、まず愛情を言葉で伝えて聴くに徹することで、信頼関係を深めることができます。​日々の小さな言葉がけが、子どもの未来を支える大きな力となるでしょう。

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